─私の指導の原点      心がほぐれると音が育つ─

──音が育つと、技術がまっすぐ伸びていく

このページでは、私がピアノレッスンに込めている想いと教室を開くまでの道のりを綴っています。
お時間の許すときに、ゆっくり読んでいただけたら嬉しいです。



◆ ピアノが子どもにくれる本当の宝物

ピアノを習うと、すぐに弾けるようになる曲
ばかりではありません。
思うように弾けなくて、つまずいたり、
悔しい気持ちになることもあります。

しかし続けていくうちに、

「昨日よりできた」
「ミスが一つ減った」

そんな小さな成功が確実に積み重なって
いきます。
できなかったことができるようになる経験は、
音楽だけにとどまらず、「やればできる」という静かな自信につながります。

この自信こそ、ピアノが子どもたちにくれる
いちばんの宝物だと感じています。



◆ 音楽の扉が開いていくよろこび

弾けるようになると、たくさんの扉が現れます。

・好きなメロディーに伴奏をつける
・曲をつくってみる
・コンクールに挑戦してみる

**「もっと知りたい」「やってみたい」**という気持ちが、さらに次の世界を開いてくれます。

私はよく自分の子どもをオーケストラの
コンサートに連れて行きました。
ピアノは「一人オーケストラができる楽器」
だからです。

舞台の音を聴きながら
「バイオリン?フルート?トランペット?」
と真剣に聴き分けようとしていた姿が忘れられません。

ただ聴くだけでなく、感じ、分類し、理解しようとする力が育っていました。



◆ 音楽の道に進まなくても、生き方に残る力

子どもたちは成長し、それぞれの道へ進んでいきます。
音楽とはまったく違う世界を選ぶ子もたくさんいます。

資料をまとめ、考え、工夫し、形にしていく姿を見ると、ピアノで育った探究心や粘り強さが確かに生きていると感じます。

ピアノを続けている子も、別の分野でいきいきと働いている子もいます。
どんな道でも、人生を前へ進めているその姿が、ただただ嬉しいのです。



◆ 指導の芯になった出来事

まだ講師として駆け出しだった頃、忘れられない出来事がありました。
小学3年生の生徒さんの変化に気づいた時のことです。

いつもきちんと練習していたのに、少しずつ練習が進まない時期がありました。
そっと理由を尋ねてみると、習い事でも説明の難しさでもありませんでした。

やがてその子は勇気を出して話してくれました。

学校で決まった男の子に嫌なことを言われていたこと、誰にも相談できずに一人で抱えていたこと、お母さんを心配させたくなくて言えなかったこと。

練習ができなかったのは、やる気がなかったのではなく心が疲れていたから。

その時、私は気づきました。

ピアノレッスンは弾けるかどうかだけを見る場所ではない。
心が安心できる居場所にもなれる。

この気づきが、今の指導の芯となりました。



◆ 技術を伸ばすからこそ「順番」を大切にしています

どのピアノの先生も、もちろん技術を教えてくれると思います。
そして私も、技術や表現力が音楽においてとても大切だと強く感じています。
自分自身のレッスンでも、音・身体の使い方・表現を常に意識しています。

ただ、生徒さんと向き合ううちに気づいたのです。

技術をまっすぐ伸ばすためには
“教わる姿勢”という土台が育っていることが
必要だということ。

姿勢が整い、心がほぐれ、聴く耳が育ち、
自分の気持ちを安心して表現できるようになったとき――
技術は驚くほど伸び始めます。

だから私はテクニックを急がせるのではなく、

・安心
・集中
・聴く力
・気持ちに気づける心の土台

この順番を大切にしています。

それは技術を軽視しているからではありません。

技術がまっすぐ伸びていくための準備をしているから。
焦って短期間で弾けるようにするより
“長く伸び続けられる子”に育ってほしいから。



◆ アマービレピアノ教室がめざすレッスン

ピアノは、音を学ぶ場所であり
同時に子どもの心が安心して開ける場所であってほしい。

心がほぐれると音が育ち、
音が育つと技術が伸び、
技術が伸びると自信が生まれる。

この循環が、子どもの未来を支える力になると信じています。

ここで過ごす時間が、子どもたちの人生のどこかで静かに支えになってくれたら、これほど幸せなことはありません。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。